コロナ禍になってからよく耳にするようになった「次亜塩素酸水」。名前のよく似たものに「次亜塩素酸ナトリウム」がありますが、違いを知っていますか？この2つは名前は似ているものの性質は大きく異なるので、間違って使用すると大変です。そこでこの記事では、次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムの違いを紹介します。今後使用する場面があるかもしれませんので、この機会に知っておきましょう。

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次亜塩素酸水とは

次亜塩素酸水とは、「次亜塩素酸」を主成分とする酸性の溶液のことです。「次亜塩素酸水」は、次亜塩素酸ナトリウムを主に塩酸などでペーハー調整をすることで生成されます。見た目は無色透明の液体でほぼ無臭ですが、少しだけ塩素臭があるのが特徴です。殺菌成分の「次亜塩素酸」が含まれており、殺菌・除菌効果を目的として使用されます。

次亜塩素酸ナトリウムとは

次亜塩素酸ナトリウムとは、主に水酸化ナトリウム水溶液に塩素ガスを吸収させて生成する、次亜塩素酸イオンのナトリウム塩です。別名「次亜塩素酸ソーダ」とも呼ばれ、塩素系漂白剤の主成分としても知られています。次亜塩素酸水と同じく殺菌成分の「次亜塩素酸」が含まれており、殺菌・除菌効果を目的として使用されることが多いです。

次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムの違い

次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウム、それぞれがどんなものかなんとなくわかったところで、続いてはこの2つの大きな違いを3点紹介していきます。

①pHが酸性とアルカリ性

次亜塩素酸水は「弱酸性」、次亜塩素酸ナトリウムは「強アルカリ性」です。強アルカリ性は金属を腐食させるはたらきがあるため、次亜塩素酸ナトリウムは金属への使用は避ける必要があります。また強アルカリ性は強い刺激臭があるのも特徴です。

②使用期限の長さ

次亜塩素酸は不安定な化合物で、徐々に分解が進んでいきます。酸性であるほど分解が速いため、酸性の次亜塩素酸水は次亜塩素酸ナトリウムに比べて速く分解され、高濃度だとすぐに殺菌効果が失われて（失活）しまいます。次亜塩素酸ナトリウムももともとは非常に不安定ですが、アルカリ性にすることで安定性が高められており使用期限が長めです。

③皮膚への有害性

強アルカリ性である次亜塩素酸ナトリウムはタンパク質を溶解するため、皮膚を化学やけどさせてしまいます。低濃度でも皮膚に触れると肌が荒れる可能性が高いです。一方、次亜塩素酸水は皮膚に近い弱酸性なので皮膚についても問題がないと言われています。

 

ただし家庭での使用にあたっては空間やモノの除菌・消臭のみが推奨されています。

比較した場合の次亜塩素酸水のメリット

最後に、次亜塩素酸ナトリウムと比較した場合の次亜塩素酸水のメリットを3つ紹介します。

事故のリスクが比較的低い

次亜塩素酸水による手指の消毒については現時点で未評価であり安全性が確認されていないものの、一般的には皮膚についても安全であると言われています。なかには食品添加物（殺菌料）に指定されているものもあったり、一部の歯医者で口腔内の殺菌に使用されたりするほどです。

 

強アルカリ性の次亜塩素酸ナトリウムに比べると安全性は高いと言えるので、子どもが飲んでしまうなどの危険性を考えて次亜塩素酸ナトリウムよりも次亜塩素酸水を選ぶ方が比較的リスクが低いのではないでしょうか。

使用方法が手軽

次亜塩素酸ナトリウムは薄めて使う必要があるほか、殺菌や除菌に使用したあとは、そのモノを水洗いしたり水拭きしたりする必要があります。次亜塩素酸水は多くの製品が希釈なしで使用でき、使用後はティッシュや布で乾拭きするだけで構いません。強い刺激臭もなく皮膚に触れた時のリスクも低いので、気軽に使いやすいです。

殺菌力が高い

次亜塩素酸ナトリウムに比べて安全性が高いにもかかわらず、除菌効果は次亜塩素酸ナトリウムよりも高いです。インフルエンザウイルスやノロウイルス、黄色ブドウ球菌などは約10秒で不活化したという報告もあり、即効性も高いと考えられています。

 

ただし、拭き掃除には有効塩素濃度80ppm以上（ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムを水に溶かした製品の場合は100ppm以上）の次亜塩素酸水を使うのが望ましく、濃度によって効果も変わるので注意しましょう。

次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムの違いを知ろう

次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムの違いを紹介しました。次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムは全くの別物ですが、混同してしまう方が多いです。特に次亜塩素酸ナトリウムは皮膚や目に入ったり吸い込んだりすると危険なうえ、酸性のものを混ぜると毒性のある塩素ガスが発生する「混ぜるな危険」の塩素系漂白剤なので注意しなければなりません。

 

違いを正しく知った上で、目的に合った製品を購入するようにしましょう。